とうとうやってきた運命の日。










        立華に朝早くたたき起こされ、寝ずに選んだという鮮やかな振袖を着付けていく。

        昨日面倒なことに十一番隊で大ケンカが起き、怪我人が大量に発生した。

        そのため四番隊に勤めているの下にも送り込まれて来たのだが、隊員達はケンカの

        余韻が残っているため4番隊の中でもケンカが勃発したり、手当てしている四番の隊

        員に当たったりと大災難だったのだ。


        その上こんな早起きさせられ眠たくてたまらない。

        眠気でフラフラするものだから何度もお尻を叩かれる。


        「しゃきっとしてくださいな」

        「・・・ ん」


        起きなきゃとは思うけど・・・体が言う事を聞いてくれない。




        「はい、出来ました」


        ようやく終わり布団に飛び込もうとすると、ものすごい力で引っ張られた。


        「わわっ!」


        その衝動に一気に目が覚めていく。

        引っ張った張本人の立華を見ると、身の毛もよだつような黒い笑顔をしている。

        目が、目が笑ってない・・・。


        「・・・立華 さん ?」

        「今日の着付けは完璧な出来なんです」

        「・・・ はい」

        「お眠りになられるなら椅子に座って頂けますよね?もちろん。」

        「も、もちろん」


        はははと乾いた笑いで何とかごまかそうとする。

        改めて、この先もずっと敵わないのだと自覚した。

















        昼前になり駕籠に乗せられ、縁談相手と会う場所へ向かった。

        待ち合わせ場所どころか相手の事もろくに教えてもらえず、もうサプライズだらけ

        で、希望なんてどこにもない。

        不安だけが積もりに積もっていく。


        「様、おつきいたしました」

        「もう?」


        以外にも近くな待ち合わせが余計怪しさを増させた。

        恐る恐る駕籠を降りれば、ソコには大きなお屋敷が広がっている。

        お屋敷は文化財かってぐらい立派で豪華、有無を言わさぬ迫力を放っていて


        「まままま… 待って、ここって」


        唇が半開きになってふさがらない。

        震えもとまらない。

        だって、ここは…



        「朽木家のお屋敷じゃ…」



        上格の貴族などというレベルじゃない、あの正一位の称号を持つ四大貴族のひとつ朽

        木家のお屋敷だ。

        こんなの聞いてない…

        驚き、戸惑いまくるに立華は満足そうに笑った。

        この状況下で、知っていたとはいえ朽木家の当主様との初面談が始まろうとしている

        のにこんな冷静でいられる立華にも驚いてしまう。


        「ムリ!結婚とか縁談とかそう言う以前にムリだって!」

        「無理なことなんて何もありませんよ、さあ参りましょう」


        あの凄い力が再びに襲い掛かってくる


        「うぁーーっ!」


        引きずられるように屋敷の門をくぐらされた。

        引きずられる中ふと気づいた。



        ―――当主って朽木隊長のとこだよね…



        今度は頭が胃くなりそうだ。










        門を潜り玄関にやってくると、ココからは立華は入れないようで一人で行かなくて

        はならない。

        玄関には白哉に仕える老翁が立っており、深く頭を下げられる。


        「様ようこそいらっしゃいました。どうぞ中へ」

        「はい」


        後とついて行くと客間に案内される。

        来る途中の廊下にはいたるところに、家が建ちそうなぐらい高価な物がごろごろと飾ら

        ていた。

        聞けば、もらいばかりだそうだ。

        こんな所に、しかも朽木隊長の元へ嫁に行けなんて無謀すぎる。

        場違いってものが…

        朽木家なら他にもいい相手がいるはずなのに。


        「こちらでお持ち下さいませ」

        「ありがとうございます」


        どくどくと心臓が痛いほど跳ねている。

        断る理由を考えていたのにその案もすっかり忘れ、頭の中が真っ白になっていく。



        ―――この中に隊長がいる。



        高級な障子紙が貼られた戸をほんの少し開け、覗き込む。

        が、白哉の姿はそこにはない。

        安心して戸開けると中へ足をむみこんでいく。


        「あの、朽木隊…じゃなくて当主様は…」

        「申し訳御座いません。白哉様はもうしばらくで参りますゆえ、もうしばらくお待

        ちください」

        「そ、そうですか」


        まだ白哉が相手という事に疑いを持っていたは、"白哉様"という単語を聞き、や

        っぱり隊長なんだ…と確信した。

        もういやだ帰りたい

        第一朽木隊長なんて一度だって話したこともなにのに、いきなり二人っきりにする

        なんてどうかしている。

        けれど、一方で安心することもあった。

        朽木隊長が相手なら、顔もしらない平隊員を嫁にとるはずないと思ったからだ。



        「失礼いたします」


        静かな客間にいきなり響く女性の声にビクッと背筋が伸びる。


 
        ―――きっ来た!!



        目を瞑って下を向いていたが女性しか入ってこず、ふぅと息を吐いた。

        お茶と茶菓子を置くとすぐ出て行ってしまい、何だか表紙抜けな気分。


        「もう、驚かせないでよー…」


        気が抜けてへにゃりとテーブルにへたり込んでしまう。

        緊張して顔の体温が上がっていたようでテーブルの冷たさが気持ちいい。


        すっかり気を抜いてそのままくつろいでいると、いきなり戸が開いていった。








        

















        *あとがき*
         前置きが長くて長くて…
         今回も兄様が登場してません。
         次こそは登場しますのでお待ちくださいませ。