戸が開く音にぎゅっと目を瞑った。
「はぁ…、あれは緋真ではない…ルキアだ」
白哉の言葉に目を白黒とさせた。
だってあれはどう見ても………。
白哉の深い溜息が聞こえて来た。
張り付いていた背中から離れ、恐る恐る部屋を覗き込んだ。
「ルキア…ちゃん?」
「はい…あの…」
困りきった顔でを見上げてくるルキアがそこにはおり、言われてみればどことなく雰囲気
が違うような、違わないような。
「あ、あはは、ごめんね。 わたしったら」
「いえ…」
「ルキアと逢ったのは初めてだったのか」
「そういえば、そうでした…」
苦笑いしながら、はホッと胸を撫で下ろした。
「はぁ……」
「どうかしたか?」
「よかったぁ…もし本当に緋真様だったら、わたし出て行けって言われるんじゃないかって
思ってたから…」
「 」
安心したのように笑みを浮かべた。
亡くなった人には勝てないから、本人じゃなくて良かったなんて不謹慎なことを思ってしまった。
白哉様にとっては喜ばしいことではなかったはずなのに。
それに、少しでも緋真さまのことを期待させてしまったことに後悔した。
「安心しろ、追い出したりはせぬ。 だが、少し驚いた」
「…すみません」
「そうではない、環はここが嫌なものとばかり思っていたが…気に入っていたとはな」
「そっそれは」
「違うのか?」
「違わ…ないです」
すると、ルキアの忍び笑いの声が聞こえて来た。
なんだか恥ずかしくて首をうな垂れさせる。
「ルキアちゃんまで…ヒドイ」
「あっすみません、義姉さま…つい」
「義姉さま」という響きに顔を上げ、ぱぁっと瞳を輝かせた。
「義姉さま…いい響き…。義姉さかぁ」
「……義姉さま?」
「放っておけ、いつものことだ」
「はぁ?」
自分の世界に入り込んでしまってる環に白哉は口の端を吊り上げる。
「それにしても、が私の事をそんなに思っていたのも以外だな」
「えぇっ?!ななな」
一気に現実に引き戻されたは白哉の思いも寄らない言葉に、口をパクパクさせた。
「違わないだろう?」
「そ、それは…」
恥ずかしさに耳まで真っ赤に染めさせた。
そんなこと簡単に言えない性格だと知っていて、わざと言ってくる白哉に困り果てるしかなく
「うぅ…うう゛」
顔や耳を更に赤く染め、言葉にならない声を上げながら、その場から逃げ出した。
「あっ、義姉様!?」
「ふっ…初やつめ」
「に、兄様?」
静に瞼を閉じると、の逃げ出した方向に向かって歩き出した。
「あんな兄様…初めて見た」
残されたルキアは、始めて見る白哉の顔や予想していたタイプとは違う義姉に戸惑う
しかなかった。
*あとがき*
ルキアとの初対面が書きたかっただけなんです;
またまた…ぐだぐだ祭り。