春、死神統学院を卒業した生徒たちは各隊に配属される。
その配属部隊を決める会議で、ある問題がおきていた。
「さて、どうするべきかのう」
護廷十三隊の隊長の中でもっとも権限をもつ総隊長である山本元柳斎重國
の前には、その問題とされている履歴書が広げられている。
「とりあえず四番隊に入れて様子みてみますか?」
「ですが、彼女に治癒霊力はありませんよ」
「ふむ・・・どうしたものか。この際あやつに頼んでみるかの」
厄介ばらいとまでは言わないが、もしかしたら何かいい結果になるかもしれ
ない。
かくしてこの書類には十一番隊の判が押された。
死神統学院のとある教室、今年卒業した生徒たちが集められていた。
所属する隊を発表する為に集められたのだ。
も今年卒業一人である。
「ー。何番隊だった?」
死神統学院に入学してからずっと仲のいい灯里は手紙を片手に駆け寄って
きた。
「えっ、あぁ・・・灯里は?」
「じゃーん。十番隊です」
灯里は前々から入るなら十番隊がいいといっていたので、夢がかなって嬉し
そうに笑顔を浮かべている。
「で、は?」
目を泳がせながら、あははと苦笑いする。
灯里は不思議そうに首をかしげながらを見つめた。
は持っていた手紙を灯里の顔の前に広げてみせた。
「十一番隊?!」
「うん・・・」
灯里にも見せてみるが、やはり十一番隊と読めるらしく「ありえない」とつぶ
やかれてしまった。
十一番隊なんて絶対配属されないと思っていた、というより考えもしなかった
隊に、ただ戸惑うしかなく思考回路も止まりそうだ。
「よりにもよって十一番隊なんて・・・」
「はぁ・・・なんで十一番隊なのよ・・・私、体術も剣術もできないし・・・というか得意
なもの無いけど。けど十一番隊なんてやっていく自信ないよ」
半泣きになりながら灯里にすがりつく。
「とにかく落ち着いて。何か考えがあるはずよ!あー、ほら事務用員とか?」
そう言われてみれば、戦闘のみを最重要とする十一番隊では書類や報告書など
のディスクスクワークの容量が悪そうな気がする。
「ホント?!」
「さ、さぁ?」
「うう・・・」
暗闇から希望の光を見つけ出したような、そんな目を向けられたら「そうだよ」
なんて言えなかった。
―――ごめんね・・・。そんな目されて違った時にどうなるか考えると哀れで・・・
「とにかく、がんばるしかないって!ね?」
「あうう・・・がんばるしかない・・・か」
なぜ十一番隊か分からぬまま、とうとう入隊の日がきてしまった。
*あとがき*
剣八どりーむー。
つぎの話から入隊しちゃいます。