いつもと変わらぬ朝のことだった。

        静かだった廊下は突然と煩くい足音を鳴らせ始めた。

        その足音は十一番隊の前で急に止まり、勢いよく開けられる。


        「わっ!」


        丁度、屯所に居合わせたはビックリしながら入ってきた隊員を見上げた。

        息を切らしながら言葉を紡いでゆく。


        「すいません!十一番隊に出動願いを!」

        「分かりました、誰か出動できる方ー…」


        返事をしたのはいいものの、部屋を見渡すと皆で払っていてしかいない。


        「あの…今誰もいなくて」

        「え?貴方は…?」

        「わたし?!む、無理です」

        「え?でも十一番隊の方ですよね?」

        「でも、私はまだ…」


        返答に困り、オロオロしていると奥から剣八が顔を出してきた。

        「何の騒ぎだ」と不機嫌にそう言い放った。


        「更木隊長、出動の要請がきたんですけど…いま皆で払ってて」

        「……なら、お前が出ろ」

        「わたしですか?!でもっ」


        まだ戦場に出たことがなく、訓練しかした事のない私なんて足手まといでしか

        ならないのに…。


        「この俺が出ないといけねぇ程の事か?」

        「い、いえ…」


        ギロリと睨まれ怯みながら隊員が言うと、を見た。


        「ならお前が行け」


        断る事などできぬ口調に、選択肢などなく頷くしかなかった。









        「顔、引きつってるぞ」

        「……何でいるんですか!」


        斬魄刀を背負い、虚の出没したという現場に向かうの後ろを剣八は

        付いてきいるのだった。


        「うるせぇ、俺に口ごたえするつもりか?」

        「…滅相もないです」


        きっと、また何かの気まぐれに巻き込まれたに違いない。

        深く溜息をもらし首をうな垂れさせる。


        「着いたぞ」

        「はい…」


        傷を負った隊員が四番隊に救護されているのが見えてくる。

        荒れた地に黒い影が現われた。


        「虚…」

        「気入れろ」

        「は、はいっ」


        背中から斬魄刀を取り出し、強く握りしめる。

        じりじりと足を進めていく。


        「トロトロしてんじゃねぇ」

        「んぎゃっ!」


        いきなりの背中を蹴り飛ばし虚に近づけさせた。

        突然のことに足を絡ませ、2回転ほどさせられたは頭を抑えながら剣八を振り返る。


        「前、見ろ」

        「え?……ッ!!」


        前を振り返れば、虚がこちらを見ているのに気づいた。

        額からひやりと嫌な汗が流れる。


        「始めての任務って…普通もっと簡単なのから始めるものだよね…」


        乾いた地面に汗が小さな染みを作った。








        

















         *あとがき*
          初任務ー