眠い・・・。

        あまりの緊張の為、よく眠れなかった。






        眠たいのも眠たいけれど、それ以上に心臓がいたい。

        ドキドキを通りこしてズキズキする。

        十一番隊の屯所に来た瞬間から逃げ出したい衝動にかれれている。

        どうして私はここにいるのだろう・・・。

        隣に並ぶ新入隊員たちは誰も、いかにも腕っ節が強そうな男がいっぱいだ。

        学校でも有名な人達もちらほらと伺える。

        ありらかに場違いな空気がただよっていた。



        「そろったようだな」

        「やっほーい」


        周りの空気が一気に張り詰める。

        とうとう十一番隊隊長、更木剣八と副隊長の草鹿やちるの登場してきた。

        物凄い威圧感に嫌な汗が流れる。

        すると剣八と目が合ってしまった。

        慌てて目を逸らすが、もう手遅れで剣八はこちらへ歩みよってくる。



        ―――ななな何でこっち来るのよー!!



        「オイ、お前」

        「はいっ!!」


        緊張と恐ろしさに声が上ずってしまう。


        「お前か・・・」

        「・・・?」

        「厄介なもん押付けやがって。まぁいい、鍛え上げてやろうじゃねーか。
        逃げ出すんじゃねーぞ、落ちこぼれ」

        「っ!」


        落ちこぼれ。

        その言葉にはっと気づく。

        は死神統学院時代の成績は全てにおいてかなり悪く、よく卒業できたも

        だと担任もも奇跡としか思えなかったぐらいだ。

        そんな能力しかないを十一番隊に入れさせ、剣術か体術だけでも使いも

        のにしようという魂胆かもしれない。

        もしくはただ、厄介払いされただけかどちらかだろう。


        「剣ちゃんっ!そんな事言っちゃかわいそうだよー」


        剣八の肩に乗っていたやちるがフォローに入ってくれるが、周りの隊員達

        に笑われてしまった。

        恥ずかしかったが、入隊できただけでもありがたいと思わなくては。

        「お前らよく聞け!十一番隊で認められたくば強くなれ。誰よりも戦場に
        出て死にもの狂いで戦え。そこで誰にも負けない強さを手に入れろ!」

        新入隊員も誰もが息をのんで剣八の声を聞く。

        これが十三番隊最強の戦闘力を誇る隊十一番隊の頂点に立つものの存在感。



        「それがここのやり方だ」


        やちるは肩から飛び降り、の手を引いた。


        「ちゃん、がんばろうネ!」

        「ありがとうございます、草鹿副隊長」

        「やちるでいいよー」


        やちるのやさしさが心にしみる。

        ここでもやっていけるかもしれないと微かな希望が見えたきがした。


        「!お前は別メニューだ」

        「べ、別?」

        「今のお前が戦場へ出たところで速攻死ぬだけだからな。足手まといだ」


        分かってはいたけど、そんなはっきり言われたら切ない。

        希望が消えていったきがする。





        こうしての苦悩と至難の日々が始まった。


















         *あとがき*
        やっと出会いました。